ジーコとケンジの欲望の記録

雨ニモマケテ、風ニモマケテ、慾マミレ、サウイウヒトガ、コノワタシダ

身体を動かせば、心も動くのか?

エンジニアになってから、仕事で体を動かすことが無くなった。まぁ、そういう仕事なのだから当たり前といえば当たり前なのだが、授業中に飛んだり跳ねたり叫んだりしていた教員時代とのギャップはかなりのものだ。

 

そして、そのギャップに苦しんでいる。どんよりとしたものがずっと心にこびりついている感覚だ。


そこで、体を動かそうと、去年の夏から暗闇ボクササイズのb-monsterに通っている。45分間、筋トレしたり、シャドーしたり、サンドバッグを殴ったりとかなりストイックなので、終わった後は汗で服や下着がビッチャビチャのグッチャグチャになる。やたらと目に汗が流れてくるので、最近はヘアバンドをつけてトレーニングをしている。


週3日くらい通っていた甲斐もあり、体も少し絞れてきた。前までは脂肪の塊だった肉体も、少しは凹凸が出来てきた気がする。


身体を動かせば心も動いて、精神的に健康になれるだろうと思っていた。最初は動けず、自分の体力の無さを恨んだり責めたりするが、そのうち慣れて自分のことを好きになるだろうと。


しかし、意外とそうはならなかった。運動後のスッキリ感は次の日の朝くらいに無くなり、どんより感は拭えなかった。


そういえば、この頃では休日の過ごし方も変わった。以前は家にいると鬱になるからと、とにかく外出するようにしていたのだが、最近では家に閉じこもりがちになっていた。休日もb-monsterに行くのだけど、終わったらどこかに行くわけでもなく、そのまま家に帰る。


今の生活に何も不満はないはずだ。やりたい仕事に就けたし、身体も動かしている。それなのに、このどんよりとした気分はなのだろうか。


そんな中、去年の年末年始の休みで、久しぶりにロードバイクを引っ張り出して走ってみた。


ロードバイクを購入して7年。購入してから一度も変えてないパーツもあったりして、結構あちこちにガタがきている。ブラケットカバー(ハンドルのゴムの部分)は劣化してベトベトになってるし、ワイヤーのカバーはヒビ割れている。最近はギアを切り替えるレバーが不調で、ギアが切り替わらない問題が発生した。

 

これを全てメンテナンスしてもらうとなると、また結構な値段がかかるのだろうな。別にロードバイク乗らなくても困るわけじゃないし、お金に余裕ができてからショップに持っていこう。


でも、ロードバイクに乗れば、このどんよりとした気持ちが少し晴れるのではないかと考えた。無駄遣いではない。心がしっかりしていないと生きていくことはできない。そう、ある意味で自分の今後に影響を与えるのだ。ことは急がねばならない。


年末年始だったから、いつもお世話になっているショップがいつまで営業しているのか調べようとホームページをアクセスところ、衝撃の事実が。なんと、その店がすでに閉店していたのだ。しかも、半年以上も前に。

 

そこは初めてスポーツ自転車を買った場所。スポーツ自転車デビューしてから、色々と親切に教えてくれた。ここが無くなったら、もう自転車のことを聞く人がいなくなるくらいに思っていたのに、そのショップがまさかの閉店という。


それを朝の通勤時、電車の中で知り、あやうく叫んでしまうところだった。


大宮にもその店舗があるということなので、年明け最初の営業日に行ってみることにした。


ブラケットカバー、ギアのレバーの改修、ついでにバーテープとワイヤーの交換を依頼した。費用は15000円。しかし、純粋なパーツ代だけならば1万円いかない。なぜなのか?と思ったら、どうやらパーツごとにそれぞれ工賃がかかるらしい。今回はいじるパーツが多い為、その分の工賃も総合すると結構なお値段になる。

 

費用のうち半分近くは工賃だった。なるほど、こういうところで儲けているのか。まったく、良い仕事をしておる。点検は系列店での購入だったので、無料でしてもらえるということだった。


自転車を預け、電車で帰宅。休み中にロードバイクで正月に浮かれる街を暴走してやりたいな、と思っていたら、その日の夜にショップから電話がかかってきた。


「お預かり頂いた自転車、パーツ交換、STIレバー(ギアを変えるレバー)の改善、点検が全て終了しました。かなり乗り心地が快適になりましたよ」


乗り心地が快適に…


もの凄く主観的である。


翌日、ショップへ自転車を取りに行った。店員に改めて「メンテナンスの後、近くを走ってみたのですが、かなり乗り心地が快適になりましたよ」と言われた。それ、別に言わなくてもよくね?


店員にお礼を言い、ショップを後にした。ゴムが劣化してベトベトだったブラケットカバーは、手袋をしなくても触れるようになった。バーテープも、今まで黒だったものを白にしたのでファンシーさが増した。ギアのレバーもしっかり動いていて、快適だった。快適過ぎてしばらくカチャカチャとギアを上げたり下げたりしながら走っていた。

 


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大宮駅から隣のさいたま新都心駅へ移動。天気も良かったので、陽の光を浴びながらボーッとしていた。

 

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この場所から眺める空は格別だ。そういえば、俺が前職を辞めて、最初の平日に見た空もこれと同じくらい晴れていた。

 

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そして昼食にマックを食べる。カロリー的にプラマイゼロだ。むしろプラスか。


空をボーッと眺めながらハンバーガーを頬張る。そんな俺をチラ見しながら、家族連れやらカップルやらが通り過ぎる。


どんな風に思われようと構わない。幸せの形は人それぞれだ。俺は自転車漕いで、1人で空を見上げながらボーッとすることに幸せを感じるのだ。独りでリアルを充実させている、独リア充だ。


リア充をしていて、俺は気がついた。ただ身体を動かせば、心が健康になる訳ではないということを。心を健康にするには、太陽の光を浴びなくてはならなかったのだ。心の光合成が必要だということだ。

 

b-monsterは確かに身体を激しく動かすが、場所は室内だし暗い。昼行性の生物であるヒトは、陽の光を浴びなくては調子が狂ってしまうものなのかもしれない。


2時間くらいボーッとして、再び自転車に乗った。


店員に言われた通り、乗り心地が劇的に快適になっていた。ハンドル周りの改善だけかと思ったが、点検でネジを締めたりオイルを差したりしてもらったからか、とても運転が快適だ。


快適過ぎてこのまま帰るのは勿体無いと思った俺は、しばらく走ってみることにした。ペダリングが快適で、どんどん前に進む進む。疲れをほとんど感じない。


そして気がつくと、上尾駅に着いていた。

 

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さいたま新都心駅から上尾駅までの距離を調べてみたら、約10kmほどあることが分かった。しかし、あっという間に感じた。


そしてある程度楽しんだら、家に帰ることにした。もう、帰りはすっかり暗くなっていた。

 

夜の公道は横を追い抜いていく車が物凄い速く感じる。それに、道路の様子が暗くて見えづらいから、黒い影が、段差で出来ているものなのかどうか分からず、とてもスリリングな運転をした。

 

だから、走り慣れた道に来た時の安堵感は半端なかった。夜に慣れない道は走るものではないと感じた。いや、久しぶりのロードバイクで感覚が少し鈍っていただけかもしれない。そうだ、そうに違いない。決して俺が臆病になった訳ではない。

 

帰宅後は心がかなりリフレッシュしていた。やっぱり、室内に閉じこもってはいけない。室内の閉鎖的な空間よりも、開放的な外に出なくては。そして太陽の光を浴びるべきなのだ。

 

心の光合成、これ、大事。生きる為には心の光合成をしなくてはいけないことを学んだ週末だった。