ジーコとケンジの欲望の記録

雨ニモマケテ、風ニモマケテ、慾マミレ、サウイウヒトガ、コノワタシダ

ストレッサーを倒すんだ、俺は

お腹の肉が気になって、肉体改造をしないといけないなと思い、ボクササイズの「b-monster」というフィットネスジムを体験してきた。

 

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「b-monster」というのは、CLUBのような光と音楽の演出の中で、筋トレやボクシングをしたりするフィットネスジムのことだ。

 


b-monster【BRAND MOVIE short ver】

 

パリピ。もう、めっちゃパリピ


とはいえ、暗闇だからリズム感が無くても恥ずかしい思いをしないし、空手やってたから殴る系の動きは身についているし、ミット打ちやスパーリングみたいに相手と何かをするわけじゃ無いから、他人に気を遣うことはない。そして、パリピ感が養われる。


トライアルが始まる前に、簡単な説明を受ける。ジャブ、ストレート、フック、アッパーなどの打撃から、ダンクやダッキングなどの体の裁き方なども取り入れられている。


ファイティングポーズを取って打撃をするとテンションが上がる。


周りを見ると年代は20代後半から30代くらいの人が中心といったところ。パリピ感のあるジムだけに、いかつい感じの人が多い。お腹の突き出たおじさんや、見るからに「ダイエットしたいですぅ、ブヒィ」みたいなポヨポヨの人は少ない。


男女比は女性の方が多い気がした。しかも、ブラトップ率が高い。オシャレ系女子がジムで着てたり、女子ボクサーが着るやつ。凄いストイックで「闘う女!」という雰囲気が出ているのだが、目のやり場に困る。そして俺の隣のサンドバッグにも、ブラトップの女性がいた。小柄ながらに強そうだ。


それまで鳴っていた音楽が止まり、証明が落とされる。パフォーマー(ここではトレーナーではなくパフォーマーと呼ぶ)が自己紹介と簡単な挨拶をすると、場内からは拍手や歓声が聞こえてきた。


そして、パフォーマーもブラトップを身につけた女性だった。こういう場所以外では絶対に関わることのないタイプの女性。


なんだかCLUBみたいな雰囲気だ。CLUBなんてパリピみたいなところ行ったことないけど。


そして大音量のEDMが鳴り響き、パフォーマーはDJみたいに流暢な英語で場を盛り上げる。


最初は軽くジャンプをしたりステップを踏んだりする。音楽に体を合わせていく感じだ。


それからスクワットをしたり、腕立てをしたり、腹筋をしたり、の筋トレパートに入る。ノンストップで色んな部位の筋トレをしていく。


キツい。開始からわずか数分で、汗がしたたり落ち、体がいうことをきかなくなった。


自分の体力の無さを痛感している中、隣の女性をみると、難なくその流れについていくことができていた。さすがはブラトップ女子。


「オーケー、ウォーターブレイク!! さぁ、次はシャドーいきます。まずはジャブから、オーケー、スリー、ツー、ワン、ゴー!!!」


水を飲むのもそこそこに、次はシャドーパートに入る。


「ジャブ、ジャブ、ジャブ」


筋トレで体力を奪われていて、思うように体が動かない。汗が床に落ちていくのが分かる。


それからストレートやらフックやらアッパーやらを一通り行う。


ウォーターブレイクが入ったあと、いよいよグローブを装着してサンドバッグ打ちに入る。


グローブを装着すると気持ちが引き締まる。空手家もどきの感覚が蘇る。


シャドーと同じようにジャブやらストレートやらアッパーやらの動きをする。今度はサンドバッグ相手だから手に跳ね返りがくる。しかし、体力はもっていかれたので、力強いパンチを打つことができない。


ひと通り基本的な動きを終えあと、これらのコンビネーションへと入る。


「ジャブ、ジャブ、フック、フック、アッパー、ダンク、フック!!」


みたいな動き。


パリピ感と同じくらいに欠如しているリズム感。口を動かして自分の動きを確認しながらサンドバッグに拳をぶつける。


「えっと、えっと、ジャブ、ジャブ、フック、アッパ…じゃねぇ、フックだ」


みたいになって、力を入れるとか入れないとか、腰を捻るとか体幹だとか、それ以前に動きに合わせるのに必死になる。分からなくなったら前の人の動きを見る。


隣を見ると、やっぱりリズミカルに動きについていけている。凄い。有段者だ。ブラトップは有段者のみに身につけることが許されているのだろう。


サンドバッグパートは後半になるとラッシュが多くなる。ただひたすらパンチを出して己の肉体を追い込んでいく。


もう、体はボロボロだったので、殴るというよりも触るに近い感じで、サンドバッグをポコポコ叩いていた。


そして次はフリーパート。各自が好きな動きをしていいというパート。もう、何もできないから、サンドバッグを殴ってるフリをした。腕を振り回してるだけみたいな動きでやり過ごした。


これでようやくプログラムは終了か、この後はクールダウンへと入っていくのか…


と、思いきや、肉体酷使はまだ終わりじゃなかった。


「プッシュアップ!!!!」


周りはグローブのまま床に手をつき、腕立ての体勢をとる。


そして、腕立て伏せの姿勢のままキープさせられた後に腕立てを命令される。


いや、バカだろ!!


あれだけ筋トレしてサンドバッグ殴って、ヘトヘトになっているのに、また筋トレさせるのか!!!!


もう、驚きを通り越して失笑してしまった。ニヤニヤしてしまった。暗闇だからよかったけど、明るかったら、かなり気持ち悪い顔をしていたと思う。


しかし、周りはへこたれることなく腕立てをしている。隣のブラトップ女子もしっかり腕立てをしている。


初めの筋トレパートではちゃんとアゴを床につけたけど、もう、この時は腕が曲がるか曲がらないかの、運動部の練習でやったら「手を抜いてんじゃねぇよ!」と先輩から蹴り飛ばされそうな腕立て伏せをするのが精一杯だった。


額から汗が滴り落ちる。水をかぶったように全身が汗まみれになる。目や口に汗が入って、汗の塩分がヒリヒリ沁みる。


これはストイック過ぎるぞ。


「EDMに乗せてCLUB感覚で楽しく体を鍛えましょう! サンドバッグを叩いてストレスも解消🎵 さぁ、みんな、レッツボクササイズ!」


みたいなノリだと思っていた。サンドバッグ殴るのは二の腕の肉解消とか、体を捻ることでウエストが引き締まるとか、暗闇で動くことで周りの目を気にしなくていいとか。


EDMがガンガン鳴っているから気持ちは紛らわされるけど、音楽が流れていなかったら軍隊の訓練だぞ、これ。


2回目の筋トレが終わって、またサンドバッグを打つように指示される。今度は力を入れて打て、と。


「パワー!! パワー!! モアー、モアー、パワー、パワー、パワー!!!」


パフォーマーの女性が、がなり声を上げて我々を煽る。それに合わせて周りの人たちは、さらに力を込めてサンドバッグを叩く。俺は、ヤケになる力さえも残ってなくて、虫さえも殺せないようなパンチを繰り出す。


パフォーマーの怒声、苦痛の声や乱れる呼吸の音をかき消すようにガンガン鳴り響くEDM、動かない体にムチを打つように飛び交うレーザー光。


苦しい、苦しい、苦しい。


俺はとんでもないところに足を踏み入れてしまったようだ。


苦しい、苦しい、苦しい。


体が防衛体制をとっていて、力を思うように出せない。


苦しい、苦しい、苦しい。


周りを見れば、みんなしっかりついていっている。


苦しい、苦しい、苦しい。


小柄な隣の女性も、暗くて表情は見えないが、動きが乱れている様子はない。


苦しい、苦しい、苦しい。


それに比べて、自分はこんなに体力がないものかと、絶望感に打ちひしがれる。


苦しい、苦しい、苦しい。


苦しい、苦しい、苦しい。


苦しい、苦しい、苦しい。


こんなに苦しいのは…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


「嫌いじゃない!」


むしろ、好き。このストイックな感じを求めていた。


自分のペースで筋トレをするフィットネスジムとは違う。45分間、音楽に合わせてノンストップで体を動かさなくてはいけない。いくら暗闇で周りの目は気にならないとはいえ、やっぱり、周りのシルエットに自分も同化しなくてはという気分になる。


やらざるを得ない状況に追い込まれるのだ。「今日はこの辺でいいやー」と途中で諦めることができない。プログラムが始まったら、終わるまで出られない追い詰められた状況。外部から強制的に追い込まれないと、俺はすぐに自分を甘やかせてしまうのだ。


それに、このストイックなプログラムについていけて、動きのコンビネーションにもしっかり対応できるようになったら、機敏に動けるようになるのではないか。鈍臭い自分を変えることができる。


自分を変えたいんだろ?


お腹の肉のことを考えずに生きたいんだろ?


裸で歩いても恥ずかしくないナイスバディにしたいんだろ?


しかし。


しかし、だ。


それに費やす経済的な余裕がない。


カードの支払い等で収入のほとんどが消える。そこにさらに追加するだなんて、正気の沙汰じゃない。


ここはゆとりができてから動く方が賢明だ。


すると、俺の中から「内なる声」が聞こえてきた。


「そんなことを言っていたら、お前は一生、動けずにいる。躊躇うのが『金銭的な理由』だけならば、それは手にする必要のあるものなのだ。


お金なんか、働いていたら後からいくらだって取り返すことができる。しかし、失った時間はどんなに頑張っても返ってくることはない。


それにお前のしようとしていることは浪費ではない。健康的な肉体と精神を手に得たいという明確かつ健全な目的があるのだ。それを手にすることで得られる幸せに比べたら、金などというつまらないことに苦しめられるな。


人はパンのみにて生くるものに非ず。


お前の本当の望みは何だ?」

 

俺の望み…

 

俺が本当に望むものとは…

 

「何を悩むことがあるのか。お前はもう知っているはずだ。自分が何を欲しているのかを…」

 

そう、俺にとっての望みとは…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

健康で強靭な心身を手に入れることだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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ということで、入会した。

 

いや、聞いてほしい。

 

俺は気づいた。浪費してしまうのは、肉体と精神が不健康だからだということに。

 

つまり、肉体と精神とが健康になれさえすれば、無駄なことに金を使わずに済むのだ。

 

これが習慣になれば、お腹の贅肉が落ちるのはもちろんのこと、体力がついて健康的な体になる。筋肉もついて引き締まった体を手に入れることができる。

 

その結果、自分に自信がつき、精神が健康になり、心穏やかに生きることができるのだ。

 

心穏やかに生きることによって、仕事も順調に進み、思わぬところでチャンスにめぐり合い、それがきっかけで収入がアップして、お金持ちになれるのだ。

 

始めるのは今なのだ。自分を変えたいと思ったその日が、幸せな人生の第一歩なのだ。

 

その為に、どうして金銭的なことで悩むことがあるだろうか。金なんて後からいくらだって稼げる。そんなものに俺は振り回されるものか!!