自転車が好きだからフィールサイクルなるフィットネスを試してみたよ
フィールサイクルってご存じ?
エアロバイク(ジムにある自転車のやつ)を漕ぎながら、音楽に合わせてトレーニングをするというやつ。
自転車を漕ぎながら行うエクササイズってことやね。
ニューヨーク発祥のこのフィットネスは、かのレディガガも通っていたとか。
他のエクササイズと違うのが、雰囲気がクラブっぽいってこと。
EDMがガンガン鳴ってて、ミラーボールがクルクル回ってて、会員のみなさんがヒューヒュー叫んでて。
暗い室内でトレーニングするから、周りに自分の動きを見られたりせず、集中できる。
クラブとフィットネスを融合させたのがフィールサイクルです。
これまで普通のスポーツジムでは過去2回、挫折してる俺。
黙々と苦しみに耐えながら歯を食いしばって器具を動かすのが楽しくない。それに、フィットネスジムは好きな時間に自分のペースでトレーニングするから、「今日は疲れてるしこの程度でいいかな」っていう甘えが出てしまう。
夏までに体型をなんとかしなきゃ。薄着になってからでも、筋肉を感じられるような愛されバディをつくりたい。
だけど、 このフィールサイクルだったら、
- 自転車をこぎながらのフィットネス
- 音楽に合わせてアガれそう
- パリピになれる
っていうことで、楽しみながら肉体改造できる。
とりあえず、トライアルに行ってどんなところか試してみることにした。
トライアルでも3000円かかるのね。無料じゃない。なかなかお金かかりそうな場所だぞ。
当日、向かうと、タンクトップを着て、完全におでこを出すように髪を上げた、いかにも「スポーツを楽しんでいます!」っていう系の女性が対応してくれました。
「じゃぁ、靴を脱いで入ってきてください。あ、靴、NIKEですね。NIKE好きなんですか。いいですよね、NIKE」
うわ、すげぇ、早速きやがった。この、人の心にググッと迫ってくる感じ。
パリピだ。パリピの接客術だ。
それから服を着替え、説明を受け、いざ、エクササイズ。
自転車は、ハンドルまで手を伸ばすと前傾姿勢になるロードバイクみたいなタイプ。ペダルはビンディングペダル。靴とペダルが固定された状態で自転車をこぐ。
「お腹を引っ込めて、背中を丸め乗ります。ハンドルには触れる程度にね。この乗り方をキープすることで、腹筋と体幹を鍛えることができます。サドルは、骨盤を立てて気持ち後ろに乗ります」
それ、ロードバイクの乗り方だ。いつも乗ってるロードバイクと同じポジションだ。
そして、この自転車、ブレーキがない。非常停止ボタンはあるものの、ペダルを漕いだら漕ぎっぱなし。漕いでいる足を止めようものなら、動き続けているペダルに足をもっていかる。ブレーキなしのピストバイクってこういう感じなんだろうな。
エクササイズは音楽に合わせて、ペダルを漕ぎ、ハンドルを使って腕立て伏せっぽい動きをしたり、立ち漕ぎしたり、倍速でペダルを漕いでみたりと色んなバリエーションで体を動かす。
音楽に合わせて楽しく♪を期待していたが、俺のリズム感の無さと身体能力の低さで、ついていけない。足を動かしながら、腕を動かすだなんて器用なこと、俺にはできない。
動きが分からなくて確認の為に立ち止まろうとすると、足をもっていかれる。ガツンって大きな音で自転車が揺れ、足首に衝撃がくる。
これ、辛いぞ。
そしてインストラクターはパリピ、いや、クラブのDJっぽい掛け声をしてみんなを煽る。
「Are you redy?」
「yeaaaaahhhhhhhhhhh!!!!!!!!!!」
リズム感とパリピ感。
無理だ。
俺と全く無縁なものだ。
リズム感とパリピ感。
これを身につけるために入会するか?
いやいや、その前に足が向かなくなる。
そしてなにより、根本的なことを俺は気づいてしまったのだ。
「これ、自分のロードバイクでやればいいじゃん」
確かに、45分間のトレーニングで汗がこれでもかというほどびっしょり。真夏の炎天下で45分間、ロードバイクを漕いで出る汗並にびっしょり。500mlの水も全て無くなっていた。
毎日、ロードバイクを漕ぐことなんか時間的にできないから、こういうスタジオでロードバイクを漕ぐというのも手なのかもしれない。
でも、これに月々1万5千円の会費は払えないな・・・
動きについていけない。動きを確認しようと上半身に意識を向けると、足が止まる。足が止まると、回り続けようとするペダルに足をもっていかれて、ガッてなる。びっくりする。足が痛い。
室内は暗いから自分のヘタレな動きを見られることはない。恥ずかしい思いはしていない。だが、そういう問題ではない。
今、俺は自分の鈍くささとリズム感とパリピ感の無さに消えてしまいたい気持ちになっている。他人の視線ではない、自分の自分に対する評価の部分だ。
ダメだ。これなら自分のペースで、黙々とマシンを動かしていた方がマシだ。
周りはクライマックスが近づくにつれて盛り上がっていく、横の人は「フゥーッ!」って叫んでいて楽しそう。
そんなこんなで45分間のトレーニングが終了。
もう、自分のダメさ加減に落ち込んでいたところ、インストラクターに声をかけられました。
「お疲れ様でした。凄いですね、初めてなのに動けてましたよ。みなさん初めてはついていけないものですが、凄いですね」
凄い褒められた。どうやら、初めての人はもっと動きについていけないものらしい。そこでちょっと心が揺らいだよね。リズム感がなくて鈍くさい俺なんか死ね!って思っていたのに、「初めてであそこまで動けた人はいない」って言われると、自分はダメじゃなかったんだって思ったよ。
「特に、自転車の乗り方とか完璧でした。あの前傾姿勢をキープするのはなかなか時間がかかるんですよ」
当たり前じゃ。
「いや、ロードバイクに乗っているんで、その姿勢はもう、体に染みついていましたよ。それにビンディングペダルも使っているんで、付け方とか外し方とか、もうその辺のは全てマスター済みです」
この時の俺、絶対にドヤ顔だった。今日、一番のドヤ顔だったと思うよ。絶対に。
「えぇ?! そうだったんですか。なんだそれ、最初に行ってくださいよ。凄い凄い、どれくらいやってるんですか」
っていう具合にその後も色々と褒められおだてられる俺。
さっきまで「二度とやるものか!!」ってなっていた俺の心は少しだけ「慣れたら楽しいかもしれないな・・・」という方向に持って行かれそうになった。
さすがパリピ。
恐るべし、パリピ。
だけど、いくら
「最初からあれだけ出来る人はいない。みんな最初は全く動けない。あなたは凄い、特別!」
と持ち上げられようと、トレーニング中に
「これは無理、もう無理、早く終われ、ついていけない、死にたい...」
って思ってしまったということは、無いってことなんだよ。
これに月々1万5000円、1年分の会費でそれなりのレベルのロードバイク1台買えるぞ。だったら俺はロードバイクを買うよ。
ということで、自転車漕いで、音楽に体を任せてパリピになれる肉体改造は、俺は「無い」って思った。パリピのお姉さんに色々と褒めてもらったり、丁寧に説明をしてもらったりしたけど、入会をしたいと思わなかった。ごめんね、パリピのお姉さん。
あ、フィールサイクル自体を否定している訳ではないので、そこは誤解しないで頂きたい。フィールサイクル自体は良いと思う。運動しているっていう感じがしないし、クラブやライブのノリで行ったら絶対に楽しい。終わった後の達成感や爽快感はハンパなかったし。
あくまで相性の問題。俺はこの雰囲気が似合わなかっただけ。このフィールサイクルに限らず「リズムに合わせて体を動かす」っていう行為自体が、俺にとって出来ないことで、苦痛を感じることなんだと思う。今回は自分が好きな「自転車」を使っていたからよかったけど、例えば、エアロビクス的なやつだったら、これ以上に苦痛だったに違いない。っていうか、そういうのだったら、まず自分からは近づかないしね。
これをするなら、自分のロードバイクを漕ぎながら、たまにハンドルの上で腕立てしてみたり、思いっきり前傾姿勢をとって腹筋を意識してみたりした方がいいと思った。
だけど、夏までに肉体改造はしないとだな。
さて、どうしようか・・・