ジーコとケンジの欲望の記録

雨ニモマケテ、風ニモマケテ、慾マミレ、サウイウヒトガ、コノワタシダ

【読書感想文】爪切男『死にたい夜に限って』

 

死にたい夜にかぎって

死にたい夜にかぎって

 

 

タイトルから、非モテでネクラな男の叙情的なエッセイかと思って購入したら、とんでもなかったwww

 

恋人と同棲しながら、過去の自分を回想していくエッセイ。初恋は自分の自転車を盗もうとしていた女で、初体験は冬木弘道似の車椅子の女で、初めての恋人は変な宗教を信仰しているヤリマンで…と壮絶な体験をしていて、驚かされることばかりだった。そして同棲している恋人は精神病を発症して、彼女の狂気と格闘する日々。

 

それを不幸な話として書くのではなくて、面白く書いており、読みながら苦笑してしまう。文章も巧く、その情景が浮かんでくる。特に、風呂に入らなくなった時の彼女の体臭の描写が生々しくて好き。その臭いに欲情する著者の変態性も好き。

 

同棲していた彼女との別れから始まり、彼女との出会い、心を病んだ彼女との同棲生活と時間が流れ、最後に彼女と別れる話で終わる。

 

読み終わった後で、もう一度、最初の別れの話から読むと、最初に読んだ時とは違った気持ちで読める。この展開の作り方は秀逸だと思った。

 

死にたい夜にかぎって

死にたい夜にかぎって