ジーコとケンジの欲望の記録

雨ニモマケテ、風ニモマケテ、慾マミレ、サウイウヒトガ、コノワタシダ

教員を辞めてよくなかったこと…

エンジニアになってから、気持ちを引っ掻き回されることも、常に何かに追われるようなことも、生き苦しさを感じることが少なくなった。

 

以前にも書いたけれど、エンジニアの職場は、俺が思い描いていた通りだった。こんな仕事をしてみたい!という希望が100%とまではいかなくとも、かなり近い形で叶った。思い切って教員以外の世界に飛び込んでよかったと思っている。

 

しかし、である。業務の内容は予想通りだったのけれど、俺の心は手放しに喜べるほど素直ではなかった。

 

エンジニアになってから、人との関わり方が分からなくなってきた。毎日、パソコンとばかり対話をしているから、自分の心が機械になりかけている気がしてならない。

 

そんな感じだから、最近は人と話をした後、上手く会話が続けられなかったと自己嫌悪に陥ることが多くなった。

 

いや、もともと言葉のキャッチボールはできてはいなかったけれど、なんだか最近、余計にそれを感じるようになった。会話の絶対数が少ないからかもしれない。

 

今は家族と生活をしているから、一言も喋らない日は無いけれど、もしも一人暮らしだったらと思うと少しゾッとする。

 

教員は当たり前だけど毎日話さなくてはいけない。授業では相手に伝わるように言葉を選んで、大きな声を出さねばならない。

 

教員の頃にほとんど喋らない日があるとすれば、それはテスト採点日くらいのものだ。ずっと机に向かって、ひたすら採点をする。生徒は休みだから、生徒関連のトラブルや相談も発生しないので予定を引っ掻き回されず、自分のペースで仕事ができる。

 

しかし、俺はテスト採点日があまり好きではなかった。模範解答を見ながら丸つけて、電卓弾いて点数を出す。もの凄く地味な作業で、なかなか精神的に疲弊する。

 

今の仕事は、毎日がテスト採点日みたいな状態なのだ。

 

テスト採点日では、採点に疲れてくると、校内を回って部活や自習などで登校している生徒に絡み、気分をリフレッシュさせていた。しかし今はリフレッシュする相手がいない。

 

俺って実は引きこもれない性格なのだろうか。人間と関わることが実は好きなんじゃないだろうか。

 

いやいや、前職がガッツリ人間と関わる仕事だったからそのギャップに苦しんでいるだけかもしれない。もし、新卒でエンジニアとしてやっていたら、そんなことは思わなかったはずである。

 

でも、人間嫌いだと思っていた俺が9年間辞めずに教員やっていたのだから、やっぱり人間は嫌いではないのか。

 

人間との会話が無くなったこともそうだが、人前で喋ることが無くなったことでフラストレーションが溜まっている。

 

もともと教員を目指したのは「自分の好きなことが勉強できて、それを語れるから」というものだった。尊敬する親が教員だからとか、学生の頃に出会った恩師に憧れたとか、教育で日本を変えたいとか、そんな素敵なことではない。

 

ただ、自分の好きなことを喋って、その「好き」という気持ちを伝染させたいと思ったのだ。あとは「会社員」になりたくなかった、というのもある。だから今も「会社」とは言わず「職場」と言う。「出社」と言わず「出勤」と言う。それはこだわる。

 

人前で喋りたい。人前に立って、みんなの視線を受けながら自己主張したい。目立ちたがり屋だから、もう人から注目されたくて仕方がない。

 

そんな思いを叶える為に、今年はあることを始めてみようかと考えている。

 

でも言わない。言ったら、言っただけで満足してやらない気がするから。